真鶴

真鶴 (文春文庫)

真鶴 (文春文庫)

 失踪した夫のことを思い出しつつ、母と娘と日々過ごしていく女性のお話。

 川上さんが書くお話には人のかたちをしていて、でも人でないものがよく出てきますが、それはちょっと怖いところもありつつも幽霊とかではない。と思っていましたがこれって勝手な思い込みだったかもなあと思ったりなんだり。
 今回は主人公に「ついてくるもの」がいます。いっぱい。
 主人公にしか感じ取れない。近くなったり、濃くなったり薄くなったり。
 一番近くに来た女には、ときおりぞっとさせられました。
 不安定なせいなのか、主人公の揺らぎが大きくて、現実と非現実をお話のなかで行ったり来たりします。
 読んでいてめまいがしそう。
 諦めているようで追い求めて、触れそうで触れられず、最後には決別がある。と思う。