それからはスープのことばかり考えて暮らした、つむじ風食堂の夜

 作家買いするつもりじゃなかったのに気付いたらおんなじ作家でした。
 どちらもなんだかほわわんふわわんと懐かしい感じがします。そしておいしそう。

それからはスープのことばかり考えて暮らした (中公文庫)

それからはスープのことばかり考えて暮らした (中公文庫)

 これを読むときは。
 自分が一番おいしい、と思うパン屋さん(チェーン店じゃなくて住宅街にぽつんとあるような家庭的なパン屋さん)のパンを購入しておくことをお勧めします。そしてオーブントースターもしくは電子レンジを稼働可能にしておくことをお勧めします。絶対途中でふんわりやわらか、もちもちあつあつのパンが食べたくなるんだよ。
 つややかなバターロールお勧め。

 要約すると。
 仕事をやめてしまった主人公が、仕事見つけなきゃなあと思いながらちょっと落ち着いた街で、映画館に入り浸ったりパン屋さんでサンドイッチを買いまくったり、すんごいおいしいみそ汁やスープを作ったりする話です。
 要約しすぎた。

 ちょっと昔の話かなーと思ったら携帯電話とか出てくるから、最近の話のようです。
 映画が好きな主人公、と書いたら間違いなんだよね。サンドイッチ屋さんの息子のリツくんに「恋愛について」訊ねられて、「遠距離恋愛中」って言っちゃう主人公が好きです。映画に出てくる女優さんを一心に追い続けるって言うのは、どういう感じなのだろうなとちょっと考えました。
 ほこほことした街での温まる話、かと思ったら話が続くにつれてちょっとどきどきする要素が入ってきたりで面白いです。
 最後の最後、本当にどきどきしたよ。
 あおいさんはチャーミング、という言葉が似合うと思う。


つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)

つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)

 雰囲気としては、おんなじ感じかな。こちらのほうを先に読みました。
 オレンジ色の電気に柔らかく照らされた食堂をイメージしながら読みました。
 帽子屋さんと奈々津さんのテンポのいいやり取り、それに置いていかれたり巻き込まれたりする先生。かわいいです。奈々津さんも、お願いするんだから、というときの自分のなかの決まりみたいなのできちんと靴を変えてくるとかね。
 夜道を並んで歩く先生と奈々津さんを想像するとふふふと微笑みたくなるかわいさです。つむじ風のせいかどうか、ちょっと冬のようなイメージ。